「黒字なのにお金が残らない」デッドクロスとキャッシュフローの基礎
「確定申告では黒字なのに、なぜか手元のお金が増えない・むしろ苦しい」── 不動産投資でよく語られるこの現象がデッドクロスです。これは減価償却費とローンの元金返済の関係から生まれます。仕組みを知っておくと、将来の資金繰りに早めに備えられます。この記事では、デッドクロスとキャッシュフローの基礎を一般的な観点から整理します。
1.「利益」と「手元のお金」は別物
まず大前提として、帳簿上の利益(所得)と実際に手元に残るお金(キャッシュフロー)は一致しません。確定申告で計算される利益が黒字でも、手元の現金が増えているとは限らないのです。
このズレを生む代表的な要因が、減価償却費とローンの元金返済です。次で見ていきましょう。
2.2つのズレの正体
- 減価償却費:経費にはなるが、実際にはお金が出ていかない(→記事61)。つまり「利益を減らすがお金は減らない」
- ローンの元金返済:お金は出ていくが、経費にはならない(経費になるのは利息部分とされる)。つまり「お金は減るが利益は減らない」
3.デッドクロスとは
一般にデッドクロスとは、「減価償却費」より「ローン元金返済額」が上回った状態を指して語られます。ローンが進むと元金返済の割合が増え、一方で減価償却は年々減ったり期間が終わったりします。この交差が起きると、帳簿は黒字でも手元資金が圧迫されやすくなるとされます。
「黒字倒産」という言葉が使われることもあるように、利益が出ているのにお金が回らない、という状況が起こりうるのです。
4.なぜ税負担が重くなるのか
減価償却が減る・終わると、経費が減る → 帳簿上の利益が増える → 税金が増えるという流れになります。お金が出ていく元金返済は経費にならないので、「税金は増えるのにお金は残らない」という二重の苦しさが生まれやすい、というわけです。
これが「デッドクロスに気をつけよう」と言われる理由です。ただし、実際にいつ・どの程度起きるかは物件やローン条件によって大きく異なります。具体的な見通しは税理士・専門家に相談しましょう。
5.備えとして記録でできること
デッドクロスは「ある日突然」ではなく、ローンと償却の進み方からある程度見通せるものです。だからこそ、日頃の記録が備えになります。
- 家賃収入と経費の推移
- ローンの返済予定(元金・利息の内訳)
- 減価償却の状況(取得時期・対象資産/→記事61)
- 手元に残った現金の推移
これらが記録されていれば、税理士・金融機関に相談するとき、将来の資金繰りを具体的に検討できます。早めに把握できれば、繰り上げ返済や売却の検討(→記事64)など、打ち手の選択肢も広がります。
6.アプリは「収支・返済の記録」を助ける
大家賃貸ノートは、デッドクロスを見通す土台となる収支や返済の記録を整えるところをサポートします。家賃収入・経費・返済の状況を物件にひもづけて残せるため、税理士・金融機関への相談に活かせます。
デッドクロスは「利益と手元のお金は別物」という事実から生まれる現象です。減価償却(経費だがお金は出ない)と元金返済(お金は出るが経費でない)の関係を理解し、記録で早めに見通しを立てておく ── それが、黒字なのに苦しいという事態への最善の備えです。
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App Storeで大家賃貸ノートを見る※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税額・資金繰りの判断や、節税・投資の助言を行うものではありません。税務は税理士・税務署、資金・融資は金融機関・専門家にご相談ください。
1980年生まれ、福岡県出身。西南学院大学卒業。3児の母。子育てをしながら義母の不動産会社のサポートを行っている。