契約・法律

原状回復の「通常損耗」と「善管注意義務違反」の線引き(国交省ガイドライン)

🗓 最終更新:2026年⏱ 読了 約8分👤 想定読者:退去対応のある専業・相続大家

退去時のトラブルで最も多いのが「原状回復をめぐる費用負担」の問題です。「これは借主負担?それとも大家負担?」── その線引きの基本になるのが、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の考え方です。この記事では、通常損耗・経年変化善管注意義務違反の違いを整理し、もめないために平時から何を記録しておけばよいかを解説します。

はじめにお読みください: 本記事は原状回復に関する一般的な考え方を整理した情報提供です。個別の負担区分の判断や、退去時の具体的な請求金額の算定・交渉は、契約内容や個別事情によって異なり、専門家(弁護士など)の領域に関わります。本記事も大家賃貸ノートも、請求金額の算定や交渉の代行は行いません。アプリは記録・整理を助けるツールです。
この記事の目次
  1. 原状回復の基本的な考え方
  2. 「通常損耗・経年変化」と「善管注意義務違反」の違い
  3. トラブルになりやすいポイント
  4. もめない最大の備えは「記録」
  5. アプリでできること・できないこと

1.原状回復の基本的な考え方

「原状回復」と聞くと、「借りたときの新品同様の状態に戻す」と誤解されがちですが、一般的な考え方はそうではありません。国交省ガイドラインでは、原状回復を「借主の故意・過失や、通常の使用を超える使い方によって生じた損耗を元に戻すこと」と整理しており、普通に住んでいて自然に生じる劣化(通常損耗・経年変化)は含まないという考え方が示されています。

つまり、ざっくり言えば次のような区分になります。

  • 大家負担になりやすいもの:通常の使用による損耗、時間の経過による自然な劣化(通常損耗・経年変化)
  • 借主負担になりやすいもの:故意・過失、不注意、通常の使用を超える使い方による損傷(善管注意義務違反)

※これはあくまで一般的な整理で、最終的には契約内容や個別の事情によります。

2.「通常損耗・経年変化」と「善管注意義務違反」の違い

区分のイメージを、よくある例で整理してみましょう(あくまで一般的な例であり、個別の判断は状況によります)。

区分考え方例として挙げられやすいもの
通常損耗・経年変化
(大家負担になりやすい)
普通に生活していれば生じる劣化・自然な経年変化家具の設置跡、日照による壁紙の変色、画びょう程度の穴 など(一般論)
善管注意義務違反
(借主負担になりやすい)
注意すれば防げたはずの損傷、通常を超える使い方による損耗掃除を怠ったことによる汚れ、たばこのヤニ・におい、ペットによる傷 など(一般論)

境界はあいまいで、ケースによって判断が分かれます。だからこそ、後から「言った・言わない」にならないよう、客観的な記録が物を言います。

3.トラブルになりやすいポイント

原状回復のトラブルは、次のような場面で起きがちです。

  • 入居時の状態が分からない:もともと傷があったのか、入居中に付いたのか証明できない
  • 契約の特約が不明確:どこまでが借主負担か、契約書で取り決めていない/内容があいまい
  • 修繕の履歴が残っていない:過去にいつ・何を直したかが分からず、劣化の経緯を説明できない
  • 金額の根拠が示せない:見積もり・請求の内訳が整理されていない

いずれも共通するのは「記録の不足」が原因という点です。逆に言えば、平時からの記録があれば、退去時の説明がぐっとスムーズになります。

4.もめない最大の備えは「記録」

原状回復でもめないための最大の備えは、入居から退去までの記録を残しておくことです。具体的には次のような記録が役立ちます。

  • 入居時・退去時の写真:部屋の状態を客観的に残す
  • 修繕の履歴:いつ・何を・いくらで直したか。設備ごとの履歴があると経年の説明がしやすい
  • 費用の負担区分:その修繕が大家負担か借主負担か、原状回復の区分タグ
  • 契約の特約:原状回復に関する取り決めを契約とひもづけて保存
  • 見積書・請求書:金額の根拠となる書類

これらを設備や部屋ごとに整理して残しておけば、退去時に「この劣化は経年によるもの」「これは契約の特約に基づく借主負担」といった説明を、記録に基づいて落ち着いて行えます。

5.アプリでできること・できないこと

大家賃貸ノートは、原状回復に関して「記録を整える」ところまでをサポートします。具体的には、修繕履歴・費用負担区分・写真・見積書・契約特約を一元的に残せます。一方で、退去時の請求金額の算定や、借主との交渉の代行は行いません

なぜ「算定・交渉」をしないのか: 原状回復費用の請求金額の算定や交渉は、契約内容や個別事情を踏まえた専門的な判断を伴い、消費者保護や法律の観点から慎重さが求められる領域です。だからこそ本アプリは「記録に徹し、判断・交渉には踏み込まない」という設計にしています。具体的な金額や対応に迷ったら、専門家にご相談ください。
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退去でもめる前に、記録で備える

大家賃貸ノートは、修繕履歴・費用負担区分・写真・見積・契約特約を設備ごとに残せます。10年スパンで遡れる「建物カルテ」として、原状回復の説明材料を平時から積み上げられます(請求金額の算定や交渉の代行はしません)。まずは無料でお試しください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法律に関する個別の助言ではありません。原状回復の負担区分・請求金額の判断は契約内容や個別事情により、専門家(弁護士など)にご確認ください。ガイドラインの内容は改定される場合があります。最新情報は国土交通省の公式情報をご参照ください。

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記事監修者
古賀 雅
宅地建物取引士・マンション管理士・ファイナンシャルプランナー

1980年生まれ、福岡県出身。西南学院大学卒業。3児の母。子育てをしながら義母の不動産会社のサポートを行っている。

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