相続でアパートを引き継いだら、最初にやる管理の整理術
親から賃貸アパートを相続した ── けれど「賃貸経営なんてやったことがない」「契約書も入居者の情報も、どこに何があるのか分からない」。そんな状態からのスタートは、誰でも不安なものです。この記事では、相続で大家になった方が最初にやるべき管理の整理を、順番に解説します。難しく考えず、「まず一冊にまとめる」ところから始めれば大丈夫です。
1.相続後、まず把握すべき4つのこと
賃貸経営の整理は、次の4つを把握するところから始まります。難しい知識は要りません。「今どうなっているか」を確認するだけです。
- 物件:どこに、どんな建物が、何戸あるか(構造・築年・部屋数)
- 入居者:誰が、どの部屋に住んでいるか。連絡先や保証人は
- 契約:契約期間・家賃・敷金・更新の条件はどうなっているか
- お金の流れ:家賃がいつ・いくら入っているか、経費は何にかかっているか
この4つが分かれば、「自分が引き継いだものの全体像」が見えてきます。逆に、ここがあいまいなまま放置すると、更新の時期を逃したり、確定申告で困ったりしがちです。
2.前任(親)の紙資料をどう棚卸しするか
相続で引き継いだ管理の多くは、紙の資料がバラバラになっています。まずは集められるだけ集めて、種類ごとに分けてみましょう。
- 賃貸借契約書・更新合意書・特約の書面
- 入居者の情報(申込書・連絡先・保証人)
- 家賃の入金が分かるもの(通帳・家賃台帳・メモ)
- 経費の領収書・請求書
- 火災保険の証券、固定資産税の通知書
- 修繕の記録(あれば)
「全部きれいに揃っていない」のが普通です。足りないものは、契約していた不動産会社や保証会社、保険会社に問い合わせれば分かることも多いので、焦らず一つずつ確認していきましょう。
3.最初に「一冊」に集約するメリット
集めた情報は、一か所にまとめるのが鉄則です。紙のままバラバラにしておくと、必要なときに探し回ることになります。物件・契約・家賃・経費・書類を一冊に集約しておけば、次のような場面でぐっと楽になります。
- 更新や保険の期限を逃さない
- 確定申告のときに集計済みの状態で臨める
- 入居者とのやりとりやトラブル時に、すぐ記録を確認できる
- 将来、自分の家族に引き継ぐときも、渡しやすい
4.つまずきやすい法律ポイント(極度額・定期借家)
相続で引き継いだ契約には、知らないと困る法律のポイントが潜んでいることがあります。とくに次の2点は、引き継いだ契約書を確認する価値があります。
- 連帯保証人の極度額:2020年の民法改正以降、個人を連帯保証人にする場合は「極度額」の定めが必要です。古い契約書のままだと記載が抜けていることがあります。
- 定期借家の手続き:定期借家契約は、事前説明書面などの手続きが抜けると普通借家とみなされることがあります。
いずれも、判断に迷ったら専門家に相談するのが安全です。詳しくは関連記事もご覧ください。
5.少しずつでいい ── 始め方の手順
一度に完璧を目指す必要はありません。次の順番で、少しずつ整えていきましょう。
- 物件を1件登録する(建物の基本情報)
- 部屋(ユニット)と、今住んでいる入居者を登録する
- 契約の条件(家賃・期間・敷金など)を入力する
- 家賃の入金を毎月記録する習慣をつける
- 経費の領収書を、支払いの都度残していく
ここまでできれば、相続で引き継いだ賃貸経営の「土台」は整います。あとは毎月コツコツ記録するだけ。最初の一歩さえ踏み出せば、不安はぐっと小さくなります。
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App Storeで大家賃貸ノートを見る※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法律・税務に関する個別の助言ではありません。相続の手続き・登記・相続税などは司法書士・税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
1980年生まれ、福岡県出身。西南学院大学卒業。3児の母。子育てをしながら義母の不動産会社のサポートを行っている。