設備の交換時期を逃さない「建物カルテ」のすすめ
給湯器が突然壊れて、真冬に入居者から緊急連絡 ── 賃貸経営をしていれば、設備の故障は避けられません。けれど、「いつ設置したか」「過去にどんな修理をしたか」が分かっていれば、慌てずに、計画的に備えられます。この記事では、設備を一台ずつ管理する「建物カルテ」という考え方を提案します。戸数が多く、長く物件を持つ大家ほど効果が大きい方法です。
1.設備の寿命と「突然の故障」リスク
賃貸物件の設備 ── 給湯器、エアコン、コンロ、給排水設備などには、それぞれおおよその寿命があります。寿命に近づいた設備は、ある日突然動かなくなります。とくに給湯器やエアコンは、真冬・真夏という「最も困るタイミング」で壊れがちです。
突然の故障は、入居者の不満につながるだけでなく、急ぎの手配で割高になったり、複数戸で同時期に交換が重なって資金繰りを圧迫したりします。これらは「設置時期を把握していれば、ある程度予測できる」リスクです。
2.設備ごとに「設置年・修理履歴」を残す
建物カルテの基本は、設備を一台ずつ「カルテ」のように管理することです。人間の健康診断の記録と同じ発想で、設備ごとに次のような情報を残します。
- 設置年月:いつ設置(または前回交換)したか
- 修理履歴:いつ・どんな不具合で・いくらかけて直したか
- 関連書類:見積書・請求書・保証書・工事写真
- 費用負担区分:大家負担か借主負担か
これを設備ごとに時系列で残しておくと、「この給湯器は設置から何年経っていて、過去に2回修理している」といったことが、ひと目で分かるようになります。
3.10年スパンで「次の交換」を見通す
設置年と一般的な寿命の目安が分かれば、「次の交換はいつ頃か」をおおまかに見通せます。10年スパンで交換予定を把握しておくと、次のようなメリットがあります。
- 計画的に予算を確保できる(突然の出費に慌てない)
- 複数戸の交換時期が重なりそうなら、前もって分散を検討できる
- 入居者募集や契約更新のタイミングと合わせて、計画的に更新できる
もちろん寿命は使用状況によって前後しますが、「いつ設置したか分からない」状態に比べれば、雲泥の差です。
4.更新コストの累積を把握する
設備の修理・交換は、長く保有するほど積み上がっていきます。建物カルテで履歴を残しておくと、「この物件に設備でいくらかけてきたか」という累積も見えてきます。これは、
- 物件ごとの収支を正しく把握する材料になる
- 修繕費か資本的支出かを専門家に相談する際の記録になる
- 将来の大規模修繕や売却の判断材料になる
といった形で、長期の経営判断に効いてきます。
5.多戸数でも続く「建物カルテ」の始め方
戸数が多いと「全部の設備を記録するなんて大変」と感じるかもしれません。でも、一度にやる必要はありません。
- まずは故障すると困る主要設備(給湯器・エアコンなど)から登録する
- 新しく修理・交換したものは、その都度記録していく
- 古い設備は、分かる範囲で設置年を入れておく(おおよそでOK)
こうして少しずつ積み上げれば、数年後には立派な「建物カルテ」が完成します。長く持つ物件ほど、この記録は資産を守る武器になります。
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App Storeで大家賃貸ノートを見る※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、設備の寿命・交換時期はあくまで目安です。法定点検は専門業者・自治体の指示に従って実施してください。
1980年生まれ、福岡県出身。西南学院大学卒業。3児の母。子育てをしながら義母の不動産会社のサポートを行っている。