原状回復費用は経費になる?負担区分と「修繕費・資本的支出」の関係
入居者の退去時にかかる原状回復費用。「自分が負担した分は経費にできるの?」と気になる大家は多いものです。ここには、誰が負担するか(負担区分という法務の話)と、負担した費用が税務上どう扱われるか(修繕費か資本的支出か)という、2段階の論点があります。この記事では、その関係を一般的な観点から整理します。
1.まず「誰が負担するか」(負担区分)
最初の論点は、その費用を大家(貸主)と入居者(借主)のどちらが負担するかです。一般に、経年変化や通常の使用による損耗(通常損耗)は大家負担、借主の故意・過失や善管注意義務違反による損傷は借主負担、という考え方が国交省ガイドラインなどで整理されています(→記事13 原状回復の線引き)。
つまり、原状回復費用の全部が大家の負担になるわけではありません。大家が負担することになった分について、次の税務の話につながります。
2.次に「税務上どう扱うか」
大家が負担した原状回復費用は、不動産所得の計算でどう扱うか(経費にできるか・どの科目か)という税務の論点になります。ここで関わるのが、修繕費か資本的支出かという区分です(→記事19)。
3.修繕費と資本的支出の分かれ目
一般に、原状回復・維持管理のための支出は修繕費、価値を高めたり使用可能期間を延ばしたりする支出は資本的支出として扱われる方向で語られます。資本的支出とされると、その年に全額を経費にするのではなく、減価償却を通じて費用化していく、という考え方になります。
ただし、原状回復の名目でもグレードアップが含まれると区分が変わりうるなど、判断が分かれる場面があります。区分は要件が細かいため、本記事では断定しません。判断は税理士へが大原則です(→記事04)。
4.敷金からの充当との関係
原状回復費用は、預かっていた敷金から充当されることがあります(→記事14・記事51)。敷金(預り金)・借主負担分・大家負担分・実際の支出が混ざりやすいため、お金の流れを名目ごとに分けて記録しておくことが、後の税務相談で効いてきます。
5.2段階を記録で分けておく
原状回復は「負担区分(法務)」と「税務の区分」の2段階。混乱しないよう、次のように記録を分けておくのがおすすめです。
- 工事・支出の内容と金額(見積・請求・領収書)
- 負担区分(大家負担分/借主負担分の考え方と根拠)
- 敷金からの充当・精算の経緯
- 工事が原状回復か・グレードアップを含むかがわかる資料
「何にいくらかかり、どういう負担で、どんな工事だったか」が残っていれば、専門家への相談も申告準備もスムーズです。
6.アプリは「費用・負担区分の記録」を助ける
大家賃貸ノートは、原状回復に関して費用と負担区分を記録するところをサポートします。修理履歴・負担区分のタグ・写真・関連書類を物件や部屋にひもづけて残せるため、税理士・専門家に相談するとき、状況をそのまま伝えられます。
原状回復は「誰が負担するか(法務)」と「税務上どう扱うか」の2段階で考えるのがコツです。判断は専門家・税理士に任せ、大家は費用と区分を分けて記録しておく ── それが、退去精算と申告の両方をスムーズにします。
大家賃貸ノートは、原状回復の修理履歴・金額・負担区分・写真・書類を物件や部屋にひもづけて記録できます(負担区分や修繕費/資本的支出の判定は行いません)。記録が整っていれば、退去精算も税理士への相談もスムーズです。データは国内に保存し、端末ロックで守ります。まずは無料でお試しください。
App Storeで大家賃貸ノートを見る※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の負担区分の判断や、経費可否・修繕費/資本的支出の区分を判断するものではありません。負担区分は専門家へ、税務の扱いは税理士・税務署にご相談ください。制度は改正で変わりうるため、最新情報を確認してください。
1980年生まれ、福岡県出身。西南学院大学卒業。3児の母。子育てをしながら義母の不動産会社のサポートを行っている。