立退料を払うとき・受け取るとき、大家が知っておきたい基礎と税務の論点
建物の建て替えや自分での使用のために、入居者に出て行ってもらいたい ── このとき話に出るのが立退料です。「いくら払えばいい?」「相場は?」と気になりますが、立退料には決まった金額表があるわけではなく、しかも払う側・受け取る側で税務の論点もあります。この記事では、立退料の基礎と論点を一般的な観点から整理します。
1.立退料とは(正当事由との関係)
普通借家契約では、大家から契約を終了(更新拒絶・解約)するには「正当事由」が必要とされ、通知期限を守るだけでは認められません(→記事11)。この正当事由を補う要素のひとつとして語られるのが立退料です。
つまり立退料は「払えば必ず出て行ってもらえる」ものではなく、正当事由の判断を補強する要素として位置づけられる、という整理がされます。
2.「相場」がない理由
立退料は、一律の金額表や決まった相場があるわけではないとされます。賃料・契約の経緯・物件の事情・入居者の状況など、さまざまな要素を踏まえて個別に決まるものだからです。
3.大家が払ったときの税務の論点
立退料を支払った側(大家)では、その支出をどう扱うかという税務の論点があります。一般に、目的や状況によって扱いが分かれるとされ、たとえば次のような論点が議論されます(断定はしません)。
- 賃貸を続けるための費用なのか、譲渡(売却)に関連する費用なのか
- 建て替え・資産の取得に関連づく性質があるか
同じ「立退料」でも、状況によって税務上の扱いが変わりうる、という点が重要です。必ず税理士に確認してください。
4.入居者が受け取るときの一般的な整理
立退料を受け取った側(入居者)でも所得としての扱いが問題になりますが、これは入居者側の税務の話です。大家としては、支払いの事実・金額・名目を明確にし、書面と記録を残すことが大切です。後の税務相談や、双方の認識の食い違い防止に役立ちます。
5.交渉は正攻法で・記録を残す
立ち退きの話し合いは、感情的になりやすい場面です。基本は合意による退去を目指し、まとまったら合意書を交わします。話し合いで解決しない場合の手続きは、明渡しの一般的な流れ(→記事43)と同様に専門家の関与が前提です。
6.アプリは「交渉経緯・金銭の記録」を助ける
大家賃貸ノートは、立退きに関して記録を整えるところをサポートします。契約内容・交渉の経緯・合意の控え・支払った金銭の名目と金額を本人用に残せるため、弁護士・税理士に相談するとき、状況をそのまま伝えられます。
立退料は「決まった相場がなく」「税務の扱いも状況次第」という、判断の難しいテーマです。金額や進め方は弁護士へ、税務は税理士へ。記録を整えておけば、その相談がぐっとスムーズになります。
大家賃貸ノートは、契約内容・交渉の経緯・合意の控え・支払った金銭の名目と金額を本人用に記録できます(金額算定・交渉や税務判定の代行は行いません)。記録が整っていれば、弁護士・税理士への相談もスムーズです。データは国内に保存し、端末ロックで守ります。まずは無料でお試しください。
App Storeで大家賃貸ノートを見る※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、具体的な立退料の金額・交渉や、税務の取り扱いを判断するものではありません。立ち退き交渉・手続きは弁護士へ、税務は税理士・税務署にご相談ください。制度は改正で変わりうるため、最新情報を確認してください。
1980年生まれ、福岡県出身。西南学院大学卒業。3児の母。子育てをしながら義母の不動産会社のサポートを行っている。