確定申告・税務

家賃収入の帳簿、何を・どこまで記録すればいい?

🗓 最終更新:2026年⏱ 読了 約7分👤 想定読者:自主管理の個人大家(全般)

「家賃の帳簿って、どこまで細かく付ければいいの?」── 自分で物件を管理していると、必ずぶつかる疑問です。付けすぎても続かないし、足りないと申告やトラブルのときに困る。この記事では、家賃収入の帳簿に最低限必要な項目と、賃料・共益費・駐車場代を分ける理由、入金確認や滞納の記録の付け方、そして手書き・Excel・アプリのどれがいいかまでを、個人大家の目線で整理します。

はじめにお読みください: 本記事は記録の付け方に関する一般的な情報提供です。税務上の計上時期や判断は税理士・税務署にご確認ください。また、家賃滞納への対応については、後述のとおり大家本人ができる範囲に注意が必要です。大家賃貸ノートは記録・整理を助けるツールであり、入居者への督促送信や税務判断は行いません。
この記事の目次
  1. 家賃の帳簿に最低限必要な項目
  2. 賃料・共益費・駐車場代を分けて記録すべき理由
  3. 入金確認の運用(前家賃・月末締めの考え方)
  4. 未入金・一部入金・滞納の記録
  5. 手書き・Excel・アプリ、どれがいい?

1.家賃の帳簿に最低限必要な項目

難しく考える必要はありません。家賃の帳簿は、まず次の項目が押さえられていれば十分にスタートできます。

  • 対象月:何年何月分か
  • 部屋(ユニット):どの物件のどの部屋か
  • 請求額の内訳:賃料/共益費/町会費/駐車場代
  • 入金額と入金日:実際にいくら・いつ入ったか
  • 状態:入金済/一部入金/未入金/滞納
  • メモ:遅れの事情、保証会社への連絡記録 など

ポイントは、「請求した金額(期待)」と「実際に入金された金額(実績)」を分けて持つことです。この2つを分けておくと、未入金や一部入金がひと目で分かり、申告時の集計もトラブル時の確認も正確になります。

2.賃料・共益費・駐車場代を分けて記録すべき理由

家賃を「合計いくら」だけで記録していると、後で困ることがあります。賃料・共益費・町会費・駐車場代は、最初から分けて記録しておくのがおすすめです。理由は主に2つあります。

理由①:消費税の扱いが異なる場合がある

住居用の家賃は消費税が非課税ですが、駐車場の使用料などは扱いが異なる場合があります。合算で記録していると、後から分けるのが大変です。最初から分けておけば、消費税の集計が必要になったときもスムーズです。

理由②:収支の内訳が把握しやすい

共益費や駐車場代を分けておくと、「家賃そのものの収入」「付帯収入」が分けて見え、物件ごとの収支把握や、収支内訳書の記入もしやすくなります。

町会費のように、大家がいったん預かって町内会へ渡すだけのお金もあります。これらを混ぜずに記録しておくことで、「自分の収入」と「預かり・通過するお金」を区別しやすくなります。

3.入金確認の運用(前家賃・月末締めの考え方)

家賃管理でつまずきやすいのが「いつの分か」という問題です。多くの賃貸借契約では前家賃(前月末までに翌月分を支払う)が一般的で、入金日と「何月分か」がずれます。

  • 「何月分か(対象月)」「いつ入金されたか(入金日)」を別々に記録する
  • 月末締めで「今月分はすべて入金されたか」を確認する習慣をつくる
  • 年末・年始は、年をまたぐ入金の扱いに注意する(迷ったら税理士・税務署へ)

対象月と入金日を分けて持っておけば、「12月末に入った1月分」のような年またぎも整理しやすくなります。

4.未入金・一部入金・滞納の記録

家賃が予定どおり入らないこともあります。大切なのは、事実を淡々と記録しておくことです。

  • 未入金・一部入金:請求額と入金額の差が分かるように記録
  • 滞納日数:いつから遅れているかを把握
  • 対応のメモ:保証会社への連絡や、自分が取った対応の記録
滞納対応で気をつけたいこと: 家賃の取り立てや督促には、大家本人がしてよいこと・専門家に任せるべきことの線引きがあります。鍵を勝手に交換する、強い言葉で繰り返し迫る、滞納の事実を第三者に言いふらす、といった対応はトラブルや法的な問題につながりかねません。困ったときは保証会社や弁護士などの専門家に相談するのが安全です。アプリにできるのは「記録を整える」ところまでで、入居者への自動督促や取り立ての代行は行いません

大家賃貸ノートの督促メモ欄は、あくまで大家本人のための記録・下書きであり、入居者へ自動で送信する機能はありません。「記録は残す。送信はしない」という考え方で設計されています。

5.手書き・Excel・アプリ、どれがいい?

記録の方法は人それぞれです。それぞれの向き・不向きを整理してみましょう。

方法向いているケースつまずきやすい点
手書きノート戸数が少なく、手書きが好きな方検索ができない/集計が手作業/紛失リスク
Excel表計算に慣れ、自分で様式を作れる方書類(契約書・領収書)と分離しがち/スマホでの入力が手間/関数が壊れると気づきにくい
アプリスマホで完結したい/書類も一緒に管理したい方自分の管理スタイルに合うか、最初に確認が必要

どれが正解ということはありませんが、戸数が増えてきた・書類もまとめて管理したい・スマホで片手で済ませたいという場合は、アプリが向いています。手書きやExcelとアプリの比較は、別記事でも詳しく扱う予定です。

あわせて読みたい
通帳とExcelの往復を、片手で

大家賃貸ノートの家賃台帳は、賃料・共益費・駐車場代を分けて記録し、入金済・未入金・滞納を一覧で管理できます。滞納の記録や自分用の督促メモも残せます(入居者宛の自動送信・督促代行は行いません)。データは国内に保存し、端末ロックで守ります。

App Storeで大家賃貸ノートを見る

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務・法務に関する個別の助言ではありません。具体的な判断は税理士・専門家にご確認ください。

👤
記事監修者
古賀 雅
宅地建物取引士・マンション管理士・ファイナンシャルプランナー

1980年生まれ、福岡県出身。西南学院大学卒業。3児の母。子育てをしながら義母の不動産会社のサポートを行っている。

関連記事

確定申告・税務
相続したアパート、1年目の確定申告で慌てないための準備

相続でアパートを引き継いだ1年目の確定申告は、いつもと違う論点が増えがち。準確定申告や減価償却の引き継ぎといった「知っておきたいポイント」と、申告期に慌てないために今から残すべき記録を、知識ゼロから順番に解説します。

確定申告・税務
インボイス制度、個人大家に関係あるケース・ないケース

インボイス制度が個人大家に関係するケース・しないケースを切り分けて解説。住居用が中心なら影響が小さい一方、事業用テナントや駐車場があると論点が出ることも。取引先の登録番号を控える方法も紹介します。

確定申告・税務
駐車場代・共益費の消費税、住居用家賃との違い

住居用家賃が非課税である一方、駐車場や事業用テナントの賃料は扱いが異なる場合があります。消費税の課税区分の一般的な考え方と、賃料・共益費・駐車場代を分けて記録する重要性を解説します。

確定申告・税務
青色申告と白色申告、個人大家はどう選ぶ?

青色申告と白色申告の違いを個人大家向けに中立に整理。事業的規模の論点や、どちらでも必要になる日々の記録について解説します。方式の選択・判断は税理士・税務署にご確認ください。

確定申告・税務」の記事をもっと見る →
← 前の記事
収支内訳書の書き方
次の記事 →
経費にできるものの考え方